職場における人間とAIとのきずなを考える

2023年3月10日 10:18 Vol.82
   
鷹取 唯 、小島 奈津絵 
ティファナ・ドットコム AI戦略室リーダー、ティファナ・ドットコム AI戦略室
Yui Takatori、Natsue Kojima
(鷹取)應義塾大学経済学部卒業後、2017年にティファナ・ドットコムに入社。広報担当として自社Webサイトの運用を担うほか、大手企業や駅・商業施設、自治体など、さまざまな業界におけるAIさくらさんの導入支援や運用サポートを行う。20年より現職。AIさくらさんの認知拡大に関わる幅広い業務に対応している。(小島)2019年に新卒としてティファナ・ドットコムに入社。大手企業をはじめとした金融・小売・貿易等、複数の業界にわたるWebサイトのデザイン制作を行うと同時に、AIさくらさんの運用・サポートを担う。19年より現職。プレスリリースの配信や自社Webサイト、公式SNSの運営を行っている。

人手不足などさまざまな社会課題を解決する手段として、AI 開発が盛んだ。その一方で、AIが人間の仕事を奪う、という指摘もある。職場にAIが浸透することに対して、ポジティブなイメージを描き続けるのは難しいことなのだろうか。そんな中、人々に心理的な安心感を与えてくれるサービス「AIさくらさん」が注目されている。人間とAIとが信頼し合いながら働くには、どんなことが必要なのか。AIさくらさんを開発したティファナ・ドットコム AI 戦略室に話をうかがった。
text: Ayano Yoshida photograph: Shuji Goto
                                                        

―まず御社の設立経緯から教えてください。まずは「AI さくらさん」の概要について教えてください。どのようなサービスなのでしょうか。

鷹取 駅や商業施設、公共交通機関、Webサイト、会社の受付、社内の問い合わせ対応などあらゆる分野で、非対面による接客を実現するAIソリューションです。デジタルサイネージやWebサイト、スマホの画面上に登場するキャラクター「AIさくらさん」として、AIチャットボットが自動で接客を行ったり、あるいは、画面上のアバターを通じて人間が遠隔で接客することもできます。
そのほか「稟議決裁システム」「日程調整」「採用管理(AI 面接・リモート学習)」「メンタルヘルス」といった社内向けツールとして活用できる、さまざまな「さくらさん」もいます。稟議決裁であれば、社内の稟議や決裁の業務フローを自動化・効率化する機能があります。

―機能について少し詳しくお尋ねします。例えば、AIさくらさんは、どのような接客をしているのですか。

鷹取 駅であれば、モニター画面上で構内・周辺施設や、乗換・観光の案内を行います。またオフィス・展示会・公共施設・採用会場などの案内・受付についても同様です。具体的には入退室管理や受付情報を入力するほか、不審人物検知などの業務をサポートします。そのほかにも、導入先の業種・業態に合わせてカスタマイズしながら、幅広いシーンで対応が可能です。

―社内向けツールとしては、主にどのように活用されているのでしょうか。

鷹取 例えば、一つの手続きをするだけなのに、大きな会社だと社員が幾つもの部署をたらい回しにされてしまうことがありますよね。そこで総務部がAIさくらさんを導入すると、人事も経理もなんでも引き受けてくれるので、社員の負担を減らせます。また、書類の提出期限など、単純な内容を確認したい場合にも案内してくれます。

―上司や同僚への確認は相手の時間を割くことにもなって心苦しいものですが、AIであれば気になったときにすぐに確認できて便利ですね。

鷹取 はい。開発の背景には「困ったときにすぐに頼れる、知識が豊富で親切な存在を作りたい」という思いがありました。そのため、社員の方々のちょっとした困り事を解決できれば、当社にとっても嬉しいことです。

また、新人教育にも対応可能です。例えば、コールセンターで新人オペレーターの方が、わからないことをAIさくらさんに聞いて解決している事例もあります。人間同士のコミュニケーションとなると、タイミングを見計らったり、初歩的なことを聞きにくかったりしますが、AIであれば余計な気を遣わず、すぐに尋ねられるのが利点です。

 
 
 
 

WebとAIの力で世の中を笑顔にする

―御社がAI さくらさんを開発された経緯を教えてください。

小島 ティファナ・ドットコムは2000年の設立で、Web 制作事業からスタートしました。当時はインターネットが普及し始めた時期で、代表取締役社長の藤井亮がWebの最先端技術を取り入れたビジネスに目を付けたのです。
あらゆる業種業態のWebサイトの制作を手掛けながら技術や知見を蓄積していく中で、A(I 人工知能)の開発にも取り組むようになりました。AIさくらさんをリリースしたのは2016年10月。当時は今ほどAIが浸透していなかったので、AIを活用した働き方を社会に発信していく狙いもありました。その後、社会的にAIやDXが身近になってきて、AIさくらさんをその先駆け的存在として注目していただけるようになり、現在に至っています。

―それでは、現在はWeb 制作とAI 開発の2本柱で事業を展開されているということですか。

小島 はい。Web 制作も引き続き行っています。変化といえば、AI 開発も手がけるようになってからは、Web 制作の際にAIさくらさんの導入もセットでご提案できるようになりました。というのも、最初にお話ししたように、AIさくらさんは接客だけではなく、システム内部で業務上の課題を自動的に分析して改善を図る機能もあります。そのためWebサイトを制作する際、そのサイトの課題を分析・改善するツールとして導入しておくと、AIがログデータなどを解析し、サイトの改善点を提案してくれるため、お客様がサイトを運営するのがラクになるという利点があるのです。

―開発の背景にはどのような思いがあるのでしょうか。

鷹取 代表の藤井が「ITの知識がない人も助けられる存在を作りたい」と思ったことです。藤井の中に「ITツールが社会に浸透しているものの、それを自在に使いこなす知識を持つ人は限られてしまっている」という問題意識があり、それを解決すべく「ITツールの使い方がわからないとき、すぐに頼れる存在がいるといいんじゃないか」と考えたのだと聞いています。

また、当社では「WebとAIの力で世の中を笑顔にする」を理念としています。AIさくらさんは、それを具現化する存在として開発されました。

―AIというとロボットのイメージが強い中、女性のアニメーションは新鮮な印象です。どのようにしてアイデアが生まれたのでしょうか。

鷹取 「誰もが親しみやすい存在にしたい」と考えたことが、大きな理由です。というのも、開発の直接のきっかけとなったのが、藤井のお気に入りのお蕎麦屋さんが経営難に陥ってしまったことだったからです。藤井がそのお店のお蕎麦が好きで足繁く通っていたところ、お店の方と親しくなり、ホームページ制作をお願いされました。そして完成後もできる限りサポートしていましたが、お店の方がうまく運用できないこともあり、歯痒い思いをしたそうです。

そのときに「もし、ITの知識が豊富で、ツールの使い方を丁寧に教えてくれる親切な人がすぐ傍にいたら、結果が変わっていたかもしれない」と思ったことから、AIさくらさんの構想が生まれました。困ったときに気軽に頼ることができる、親しみのわく存在。それをビジュアルで表そうとしたとき、無機質なロボットではなく、人間のアニメーションが思い浮かんだようです。余談ですが、さくらさんの導入をご案内する際に、営業担当者は「皆さんの同僚として一緒に働くAIです」と説明しています。企業の方には「AIのツールを導入した」ではなく、「AIの新人が入社してきた」と思ってほしい。それが当社の願いです。

—確かにAIさくらさんのビジュアルは健康的、かつ柔らかい表情で、人間味を感じさせます。どのようにしてキャラクターが決まっていったのでしょうか。

鷹取 老若男女を問わず広く受け入れられるキャラクターにする、というのが大前提でした。親しみやすい人物像を作ることを目指して、藤井と制作メンバーとで相談しながら修正を重ねていったと聞いています。

—髪型や服装は、何パターンかあるのですか。

鷹取 基本的なパターン一覧もありますが、それ以外にもお客様からの個別の要望にもお応えしています。そのため、数は決まっていません。
導入にあたり特別な想いを寄せてくださる企業も多く、髪型や服装に細かなリクエストを頂く場合もあります。例えば飲食店に入社した例では、異物混入を防ぐという観点から髪の毛をきっちりと帽子に入れていました。そのほかにはAIさくらさんがAIスタッフ「ゆう」として渋谷109の店頭で接客業務を行うケースもあり、そのビジュアルは若い女性が集まる施設なので、金髪のショートカットにしています。職場の雰囲気や接する人に合わせて身だしなみのマナーも変わるものですが、AIさくらさんも同じです。ニーズに合わせて柔軟にビジュアルを変更しています。また、表情も豊かです。微笑んでいたり、大きく笑っていたり、笑顔だけでも幾つもの種類があります。悩んでいる表情を見せるときもありますね。

 
 
 
 

活躍の場は全国、さまざまな場所

—現在までの具体的な導入実績について教えてください。

小島 上場企業をはじめ自治体、公共交通機関など、あらゆる業種・業態で導入していただいています。鉄道では、JR山手線(品川駅・渋谷駅・池袋駅・秋葉原駅)や近畿日本鉄道などで、また過去には、JR 東京駅や成田空港第2ビル駅などでAIさくらさんが活躍しています。商業施設であればイオンモールや、ららぽーと新三郷、自治体では佐賀県庁や藤沢市役所のほか、最近では最高裁判所でも採用されました。

—自治体ではどういった業務を担当しているのでしょうか。

鷹取 例えば富山県庁では主に2つの業務を担当しています。1つ目は、富山県ホームページにおける自動車税についての問い合わせ対応です。これをAIが行うことにより、県庁の職員が行政サービスの向上に努めることができるようになります。もう1つは、富山県移住・定住促進サイトでAIが24時間体制で問い合わせに対応することで、住民サービスの充実や富山県移住の魅力発信につながりました。また藤沢市役所の場合は、外国語対応を含めたスムーズな観光案内と、観光案内所の職員がコロナ禍でも対応できる新しい働き方の推進を目的に、AIさくらさんが導入されました。

—最高裁判所ではどのような業務を行うのですか。

鷹取 最高裁判所が管理する裁判書類提出用のWebサイト上で、書類の電子提出処理やシステム利用時のトラブルなどの問い合わせを担当します。職員の業務効率化や、利用者への効率的なサービス提供を目的に導入していただきました。

—最高裁判所での導入が実現した背景は何だったのでしょうか。

小島 2018年以降、裁判手続き等の全面IT 化に向けた動きが加速しました。しかし、新しい運用方法に対する問い合わせが多数寄せられ、その対応に追われてしまうことが課題でした。そこで、それらの問い合わせに迅速に対応・解決することを目的に導入されたのです。
また、AIさくらさんは、クラウドセキュリティに関する国際規格「ISO27017」の認証を受けています。そのため、サイバーテロなどのリスクにも対応可能なセキュリティレベルを担保しており、その点も評価していただけたのだと考えています。

—教育機関(高等学校)でも導入されているそうですね。

小島 はい。2022年7月に千葉県立幕張総合高等学校の文化祭に呼んでいただきました。当日は生徒の皆さんとお揃いの制服を着たAIさくらさんが登場して、部活動の紹介や、文化祭当日のイベントの案内を担当しました。

―学校での反応はいかがでしたか。

小島 生徒さんの多くが「かわいい!」「名前なんて言うんですか?」と、AIさくらさんに実際に話しかけてくれたようですし、文化祭を見学に来た学外の方からは「うちの学校にも来てほしい!」といった嬉しい声も頂きました。
10代のうちにAIとポジティブな触れ合いを経験することが、将来、AIときずなを深めながら働いていくための素地になるのではないかと期待されています。
元々、在校生や職員をはじめ、文化祭に訪れる方々のサポートが必要、というところから始まりました。生徒がAIへの理解を深めるきっかけになれば、という学校の方々の思いもあって、人間ではなく、AIに声がかかったのです。

   
小田急線・藤沢駅で観光案内を目的として実施された、「AIさくらさん」の実証実験の様子
   
南海電鉄・なんば駅では、サイネージのバージョンアップに伴い、等身大パネルを設置
   
JR線・品川駅の改札付近に設置されたAIさくらさん
 
 
 
 

AIさくらさんが溶け込む日常

—ここまで急速に社会に浸透したのはなぜだとお考えですか。

小島 きっかけとなったのは、JR 東日本グループが実施する「案内AIみんなで育てようプロジェクト」に参加し、2018年12月から翌年3月まで東京駅構内5カ所で実証実験を行ったことではないでしょうか。中央通路や、京葉八重洲口改札など、人の目につきやすい場所に設置されていたこともあり、メディアでも話題になりました。

—実証実験では、どのような部分が注目されたのでしょうか。

小島 当時は2020年に東京五輪の開催を控えていたこともあり、インバウンドに対する準備を進めている時期でした。そこで、AIさくらさんが日本語・英語・中国語・韓国語の4カ国語に対応し、外国人観光客からの質問にもそれぞれの言語で答えられることが評価されたのです。観光スポットやおすすめのお土産などを案内するだけでなく、お客様から寄せられる質問内容をビックデータ化しながらAIが学習し、日増しに案内の精度が向上する点も大きなポイントでした。

—現在、AIさくらさんを利用している方からはどんな反応が寄せられていますか?

小島 多くの導入先では、AIさくらさんがいるのがお客様にとって、徐々に当たり前になってきているようです。例えば商業施設では夏服や冬服のほか、ハロウィンやクリスマスなどイベントごとに衣装を変えることもあるので、そのたびにSNSで最新の画像が投稿されたりします。
また人通りの多い場所で、通勤・通学の際にAIさくらさんに挨拶するのを日課にしてくださっている方もいます。一時的にメンテナンスで不在になることがあると、「今日はいないね」と寂しがってくださっているようです。「天気がいいね」など、皆さま、それぞれの言葉でAIさくらさんに話しかけてくださっていますね。また、学習機能が備わっており、最初は答えられなかった質問でも、早ければ翌日には答えられるようになることもあります。そうした日々の変化を楽しんでくださっている方も多いのではないでしょうか。

―学習機能によって、会話の幅がどんどん広がっていくのですね。

鷹取 はい。日常的な会話だけでなく、案内の精度もどんどん向上していきます。特に商業施設では、テナントが閉店したり、営業時間が変更されたりすることがありますが、そうした場合に、お客様の反応を見ながらAIさくらさんが自動で情報を更新するか、あるいはアラートを発して、システム内に改善すべき部分があると人間に伝えてくれるのです。これが人間だけの作業となると、すべてのテナントの情報を一つ一つチェックしなければなりません。毎日チェックすれば常に情報は更新されますが、多くの場合は時期を決めて定期的に確認作業をするはずです。となると、情報が更新されるまでにタイムラグができてしまう。また、チェック漏れなどミスが発生するかもしれません。その点、AIさくらさんはタイムリーに改善を行っていけるのです。

―どのようにユーザーの反応を確認するのですか?

鷹取 案内終了後、画面上に役に立ったか否かを尋ねるアンケートが表示されます。主には「はい」か「いいえ」で答えていただき、案内に対する反応をデータとして残しておく仕組みになっています。そして、お客様から「いいえ」という回答が集中した場合に、なぜ満足していただけなかったのかを分析するのです。
また、AIさくらさんが話した内容もすべて記録しています。それらをチェックしてお客様からネガティブな反応があった部分に対して、改善方法を探っていきます。

―導入事例が多いと、システムのメンテナンスが大変なのではないですか。

鷹取 メンテナンスも自動で行うので、導入している企業の方は基本的には何もしなくても運用できる仕組みになっています。当社がメンテナンスを行う機会も少ないですね。

 
 
 
 

世界に向けた日本の“顔”になる

―先ほど、インバウンドの話題が出ました。現在、AIさくらさんは何カ国語に対応しているのでしょうか。

鷹取 今は12カ国語に対応しています。英語圏やアジア圏の方の利用が多いので、基本的には日英中韓の4カ国語で多くの施設や駅での案内をカバーしています。ホテルや観光名所では、さらに多くの言語に対応したバージョンを導入するケースもあります。

―外国の方からはどんな反応がありましたか。

小島 大変好評を頂いております。例えば駅構内にいる場合、おすすめのお土産や観光名所、飲食店の場所を聞けるのが嬉しいようですね。駅員さんには聞きにくい内容もAIさくらさんには質問しやすいことが、高評価の理由のようです。通訳者不足の問題解決にもなりました。これによって観光地の魅力をより深く理解してもらうことができるはずです。海外観光客の方がよりいっそう日本のことを好きになってくださるのではないか、と期待しています。

―海外から来た方にとって、AIさくらさんのビジュアルや対応が日本のイメージを左右することもあり得ますね。

小島 そうですね。観光地だけではなく、2020年12月から翌年1月末日までは成田空港第3ターミナルで実証実験を実施していました。その時期にAIさくらさんを見た方も多いのではないでしょうか。来日された方々との会話の記録を見てみると、観光案内だけではなく、普通の会話もしているようです。海外観光客の中には、画面上のAIさくらさんを見て「なんだろう?」と思い、好奇心から話しかけてくれる方も多いのかもしれません。

 
 
 
 

AIが余計なプレッシャーから人を解放する

―今後についてお聞きします。AIを活用した社会課題の解決について、どのようにイメージされていますか。

鷹取 AIが人間の仕事を奪う、という指摘もありますが、当社ではAI が人間の負担を軽減し、不安も解消してくれると考えます。それを象徴するのが、JR山手線・品川駅での導入事例です。駅の方がおっしゃっていたのは「アバター接客によって残業時間が減り、かつ、感染症対策ができた」ということでした。
従来は改札口に駅員がずっと立ち続けていましたが、表に立っていると事務作業ができないので、どうしても残業が発生してしまっていたそうです。しかしAIさくらさんを導入することによって、人間が構内に立って待機する必要がなくなり、その時間をデスクワークに充てられるようになったとか。かつ、アバターを通じて遠隔で対応する場合は非対面での接客になるので、感染症のリスクも減らせます。AI 導入により人員をカットするのではなく、AIが人間の負担を減らして働きやすい環境を作ってくれる。こうしたポジティブな使い方が広まるはずだと信じています。

―人間だと立っている姿勢が悪かったり、質問に十分に答えられなかったりすると不快に思う利用者もいるかと思います。そういったクレームも少なくなりそうです。駅員さんのプレッシャーも減ったのではないでしょうか。

小島 その可能性はありますね。実際の言葉としては「業務が円滑に進むようになった」という良いフィードバックを頂いています。

   
キャンペーン時に制作された、13cmサイズの卓上に載るAIさくらさんグッズ
   
AIFAQシステムの画面。質問項目を選んだり、音声で直接質問したりもできる

―御社の今後のサービス展開についてお聞かせください。

鷹取 仮定の話ですが、AIさくらさんをパーソナライズできるようになるといいのかなと思っています。公共の場でのサイネージ画面のパーソナライズ化は難しいかもしれませんが、社内向けツールでは実現できるはずです。例えば、企業の中でもパソコンのユーザーやログインするアカウントごとにさくらさんが以前の会話を覚えていて、一人ひとりに合わせて効率的に必要な情報を提供する。そういった機能を追加できると、お客様にもっと喜んでいただけるのではないでしょうか。

―社内カウンセラーの代わりというか、「メンタルヘルスさくらさん」として個人個人の状態・傾向などを覚えていて、個別にアドバイスをくれたりするのも良さそうですね。病院に行くほどではないけれど、なんだか調子が悪い。それくらいの段階でさくらさんに相談できる環境が整うと、安心して働けるようになるのではないでしょうか。

鷹取 そうですね。メンタルヘルスさくらさんは、社員のメンタルヘルスを守る社内向けツールです。AIが心の不調の兆候を早期発見し、相談内容をデータ化して今後のカウンセリングプランの提案などを行ってくれます。おっしゃるように、一人ひとりの不調の傾向を記録し、分析できるようになると、さくらさんが専属の相談員のようになり、もっと身近に感じていただけるかもしれません。人間とAIが良い関係を築きながら笑顔で働いていけるよう、今後も開発を進めていきたいと思います。